2018年3月22日木曜日

日常花Vol.2



京都に住まう市井の人びとの花のしつらえを集めた写真集。
一年十二ヶ月を通して、様々な方々の「花」とその人となりとが混ざり合う。
そんな関係性から醸し出される空間(しつらえ)の情景が映し出される。
花に現れた、それぞれの人間の小宇宙が、写真家・野口さとこさんによって美しく撮られています。
今回、友だちとしてだけでなく、数寄者としても敬愛する人の花のしつらえに、私の版画を選んでいただきました。
そのしつらえから、友の花との向き合い方、人やものと向き合うその姿が浮かび上がっているようです。
青幻舎 2500円(+税)


色層 版画について 髙比良 哲
私の版画は、何回、何十回とインクの色を重ねて摺り上げます。
摺るほどに紙の表面は磨耗し、下の色と上の色の重なりからなる層から、また新たな色調が顔を覗かせるのです。
圧をかけて摺るという版画の行為は、重ねた色の「こすれ」や「つぶれ」、「かすれ」という複雑な色の世界を生み出します。
摺り重ねた、その圧力によって紙は薄く平たくなっていきますが、紙の上に展開される色はより立体感を増し、深くなっていくのです。

2018年1月10日水曜日

版画




色を消しながら新しい色を表現すること
矛盾するようですが、私の版画においてこの要素はとても重要なものです。
摺るほどに紙の表面は磨耗し、下のインクの色と上のインクのと色の重なりからまた新たな色調が顔を覗かせます。
圧をかけて摺るという版画の行為は、インクの「こすれ」や「つぶれ」、「かすれ」という複雑な色の世界を生み出すのです。
そのためにまず素地を作ること。インクの色を摺る行為によって紙の素材感を消していきます。
何十回にも渡る摺りの作業に耐えうるため、紙は島根の伝統工芸士である西田裕氏による石州楮を使用しました。
摺り重ねるほどに、その圧力によって紙は薄く平たくなっていきますが、紙の上に展開される、インクの色による世界の立体感はむしろより深くなっていくのです。
新しい色を生み出すために、色を消し続けること。
私の版画は、一生続くであろう反復の成果であり、未だ終わらぬ経路を往く足あとなのです。

髙比良 哲